箒木蓬生 /はばきぎほうせい

1947(昭和22)年、福岡県生れ。

東京大学仏文科卒業後、TBSに勤務。

2年で退職して九州大学医学部に学び、現在は精神科医。

'79年に『白い夏の墓標』を発表、サスペンスの舞台を海外に据えた物語は

直木賞候補となった。

'93年『三たびの海峡』.で吉川英治文学新人賞、

'95年『閉鎖病棟』で山本周五郎賞、'97年「逃亡』で柴田錬三郎賞を受賞した。

  本の名前を してね!

閉鎖病棟 安楽病棟 賞の柩 三たびの海峡
空の色紙 エンブリオ 十二年目の映像 受精
国銅(上) 国銅(下) アフリカの瞳 空山
逃亡 千日紅の恋人 薔薇窓 風花病棟 
       

薔薇窓/2003年/9月/14日/

新潮社 定価:2400

連続誘拐事件、貴婦人ストーカー

日本ブームに沸く華の都で、精神科医の

異常な二百日が始まった!

もしや日本人では?

パリ警視庁付きの精神科医ラセーグが

診断した美少女は、万国博覧会に浮かれた

華の都で、恐怖に身を震わせていた。

魅惑のストーカーがー

ラセーグに病的につきまとう貴婦人と、

連続誘拐事件はどう繋がっているのか。

被害者の女性たちに共通項はあるのか。

パリを熟知した著者ならではの大作!

百年前の暗鬼たち、その秘められた饗宴。日本ブームの陰に潜行する猟奇犯罪に、

若き精神科医が手探りで挑む!

閉鎖病棟/2006/2/1

とある精神科病棟。重い過去を引きずり、

家族や世間から疎まれ遠ざけられながらも、

明るく生きようとする患者たち。

その日常を破ったのは、ある殺人事件だった

彼を犯行へと駆り立てたものは何か?その理由を知る者たちは

現役精神科医の作者が、病院の内部を患者の視点から描く。

淡々としつつ優しさに溢れる語り口、感涙を誘う結末が絶賛を浴びた。

山本周五郎賞受賞作。

安楽病棟/20062/27

深夜、引き出しに排尿する男性、お地蔵さんの帽子と前垂れを縫い続ける女性、

気をつけの姿勢で寝る元近衛兵の男性、

異食症で五百円硬貨がお腹に入ったままの女性、

自分を23歳の独身だと思い込む女性様々な症状の老人が暮らす

痴呆病棟で起きた、相次ぐ患者の急死。

理想の介護を実践する新任看護婦が気づいた衝撃の実験とは?

終末期医療の現状と問題点を鮮やかに描くミステリー

賞の柩/2006/3/10

199X年度「ノーベル賞」には微かな腐臭がした―イギリス医学界の重鎮が受賞した

「医学・生理学賞」の周辺に不自然な死が多すぎるのだ。

故あって、恩師の死因を探っていた青使医師・津田は、

賞を巡る“論文剽窃”の疑惑と“見えざる凶器”の存在を知る。

しかし真相を握る医学研究者は重度のアルコール依存症に

陥っており…。

現役医師にして山本賞作家が放つ、傑作サスペンス。

三たびの海峡/20063/31

一度めは暗い船底に詰め込まれ、半死半生で連行された。

二度めは日本人の女と夜陰に紛れて密航した。

そして三度め―九州から釜山に届いた一通の手紙が、

老境の男に朝鮮海峡を越えさせた。

数十年を経ても拭い去れぬ痛恨の思いとは何なのか。

朝鮮半島の側から、日本人の手で描かれた、

限りなく熱い復讐物語。

『モンテ・クリスト伯』に比すべき大巨編。

血沸き肉躍る大河小説千枚。

ナショナリズムの耐えられない軽さに悩む日本人に捧ぐ―。

空の色紙/2006/4/7

精神科医の小野寺は、殺人容疑者の精神鑑定を依頼された。

妻との関係を疑い、自分の息子を殺したというその男は、

本当に狂気のさなかにあったのだろうか?

小野寺は調査を進めながら心の動揺を覚える。

実は彼自身も、ある事情のために妻への屈折した嫉妬の感情を抱きつつ生きてきたのだった―。

表題作をはじめ、デビュー作「頭蓋に立つ旗」など初期の医学もの中編3編を収録。

エンブリオ/2006/4/13

2002年7月30日第1刷発行 集英社¥1900E 

「男性の妊娠」研究を国際学会で発表し、各国の賞賛を浴びた岸川。

彼の高度な医療水準に、アメリカで不妊治療をビジネス展開する大企業が目をつける。

最先端の技術と情報を盗むため、巨大組織が仕掛けた卑劣な罠。

そして、それに対して岸川がとった恐るべき反撃策とは。

岸川の持つ闇が徐々に暴走し始める…。生殖医療の暗部を鋭くえぐり、

進みすぎた生命科学...
 

十二年目の映像 2006/4/14

東大安田講堂攻防戦壷時計台内部から撮影したフィルムが存在した。

放送局に勤める庸次の心は動く。

権力側からではない、「解放区」からのフィルム……。

だが、庸次の熱意にうたれて秘かにそのフィルムを渡した保管者は、

紛争後もセクト争いから対立派に狙われていた。

彼らにとってそれは危険な時限爆弾だったのだ、

情報化社会の巨大組織テレビ局の裏面を撃つサスペンス。
 

受精 2006/4/25

恋人を交通事故で失って以来、北園舞子には、

見るもの触れるものすべてが無意味に感じられた。

悲しみは赤く焼けた炭火のようにいつまでも残った。

舞子はかつて2人で訪れた蛾眉山に登り、

そこで出会った外国人の老僧から、

「恋人は生きている、彼の子供を生みたくないか」ともちかけられる。

その言葉は、“生ける屍”同然となった舞子にとって、天恵以外の何物でもなかった。

舞子は老僧に導かれ、ブラジルの港町サルヴァドールへと旅立つ。

死んだ恋人の子供を身ごもるために…。

押し寄せる感動。衝撃のラスト!比類なき愛と生命の物語
 

国銅(上) 2006/5/10

歯を食いしばり一日を過ごす。

星を数える間もなく眠りにつく。

都に献上する銅をつくるため、若き国人は懸命に働いた。

優しき相棒、黒虫。情熱的な僧、景信。忘れられぬ出会いがあった。

そしてあの日、青年は奈良へ旅立った。大仏の造営の命を受けて。

生きて帰れるかは神仏のみが知る。そんな時代だ。

天平の世に生きる男と女を、作家・帚木蓬生が熱き想いで刻みつけた、大河ロマン。

国銅(下) 2006/5/18

華やかな奈良の都で、国人は大仏造営の作業に打ちこんでいた。

ともに汗を流す仲間たちと友情を築いた。

短き命を燃やす娘と、逢瀬を重ねた。

薬草の知識で病める人びとを救い、日々を詩に詠む。

彼は、確かな成長を遂げていた。

 

数え切れぬほどの無名の男たちによって、鉱石に命が吹き込まれ、

大仏は遂に完成した。

そして、役目を終えた国人は―。静かな感動に包まれる、完結篇。

アフリカの瞳 2006/5/29

世界のHIV感染者六千五百万人、その三分の二がアフリカに集中するエイズの

現実を真っ向から見据え、

それでも希望を求め続ける日本人医師の闘いを描いた、

衝撃と感動の長編小説。


国民の10人に1人がHIVに感染。毎日200人の赤ん坊が、

HIVに感染したまま生まれてくる国。ここではエイズという絶望すら、

白人資本に狙われる…。いまわれわれに生命の重さを問う衝撃作。
 

空山 2006/6/3

思い出の眠る山を汚すのは誰!?

鮮烈な出会いと別れから5年。亡き恋人・達士との思い出を求めて菅生連山を訪れた、草野市議の俊子。

しかし、そこで見たものは巨大なゴミ処理センターの工事で変わり果てた山の姿だった。美しい山を守るため、友人の真紀や医師の慎一たちとともに立ち上がった俊子だったが!?
『空夜』に続く長編問題作。
 

逃亡 2006/6/4

1945年8月15日、日本敗戦。国内外の日本人全ての運命が大きく変わろうとしていた。

香港で諜報活動に従事していた憲兵隊の守田軍曹は、

戦後次第に反日感情を増す香港に身の危険を感じ、離隊を決意する。

本名も身分も隠し、憲兵狩りに怯えつつ、命からがらの帰国。

しかし彼を待っていたのは「戦犯」の烙印だった…。

「国家と個人」を問う日本人必読の2000枚。柴田錬三郎賞受賞。

千日紅の恋人 2007/9/30

父が遺した古いアパート「扇荘」を管理する時子。

初婚は死別、再婚は破綻。

今は、老人介護のかたわら、母、峰子の代わりに、

家賃の集金や住民のトラブル処理に応対する日々だったが‥。

「このままずっと独りなのかしら‥」

そんな時子の前に、”彼”は現れた。             千日紅の花言葉は「不滅の愛」

 

  風花病棟
2013年10月3日読破

乳癌と闘いながら、懸命に仕事を続ける、
泣き虫先生(「雨に濡れて」)。
診療所を守っていた父を亡くし、寂れゆく故郷を久々に訪れた勤務医(「百日紅」)。
三十年間地域で頼りにされてきたクリニックを、
今まさに閉じようとしている、老ドクター(「終診」)。医師は患者から病気について学ぶのではなく、
生き方を学ぶのだ――。
生命の尊厳と日夜対峙する、十人の良医たちのストーリー。