祖父の代から目黒に道場を構えていた小野派一刀流の 剣客・波切八郎は、御前試合の決勝で敗れた 秋山小兵衛に真剣勝負を挑み、 小兵衛は二年後の勝負を約した。
それを待つ身でありながら八郎は、辻斬り魔に堕ちた 門弟に自首を促すことができずに成敗してしまう。 道場を出奔し浪々の身となった八郎は、 想いを通じた座敷女中のお信にそそのかされるまま、 お信の敵、高木勘蔵を討つ。