金閣寺
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金閣寺 

2001年5月1日読書開始 5月20日読破 新潮文庫 ¥476


朝鮮動乱が勃発して間もない

昭和257月1日、"国宝・金閣寺焼失"の報道が世人の耳目を驚かせた。

をこの放火事件にとり、その陰に秘められた若い学僧の悩みどもりに生れついた宿命の児の、生への消しがたい呪いと、

それ故に金閣の美の魔性に魂を奪われ、ついには幻想と心中するにいたる悲劇を、鬼才三島が全青春の決算として告白体の名文に綴った不朽の金字塔である。

  

 

金閣寺について  2001年5月21日

主人公、溝口(下の名前が見当たらない)による一人称の独白で物語は進行していく。

吃音というハンディキャプを持つ主人公は僧侶になるため、金閣寺に入門する。

彼は心の中に美の究極の対象として金閣寺を崇め祭る。

作者は主人公が心の支えとなる金閣寺を放火により炎上させるまでの

心の葛藤を金閣寺の建築様式、鹿苑寺(禅宗)の作法、

交友関係、女性関係等を通じてストリーを展開していく。

正直に言うと、専門用語が多くて「潮騒」に比べて難解でした。

解らないところは読み飛ばしました。(注釈を見るのが面倒だってので)

内容が難しい分取上げるテーマはたくさん有りました。

金閣寺の主題は 2001年5月23日

この本のテーマは、

主人公が「金閣寺」を燃やすという行為に至までの心理状態の描写です。

常識的に考えるなら、僧侶になるため仏門に入ったのだから悩み事があるとすれば仏に

すがり、住職に頼るはずなのに
初めから「金閣寺」を擬人化して金閣寺を美化し、

それを通して物事を考え、行動に移していく。そこに作者の作為がある。

主人公に美の究極の象徴として「金閣寺」を持って来ているのは

「金閣寺」=「憧れの女性」

の関係を想定しているのだと解釈すれば理解しやすいのでは。

本の中の登場人する女性を見ていくと、少年時代のマドンナ、“有為子”がいる

ここで主人公は“金閣寺は有為子の化身”だと信じる。

だから他の女性“南禅寺の美しい女性=生け花の師匠”、

“下宿の娘”等と最後の一線を越えようとすると、

「金閣寺(有為子)」が現れ拒否反応を起こす。

「美は…美的なものはもう僕にとって怨敵なんだ」(P232)と

の考えに至った時、彼は「金閣寺(有為子)」の束縛から放たれ

遊郭の女性、“まり子”に対して童貞を捨てることが出来た。

後は「金閣寺」を破壊することが、「有為子」との決別であり、

彼が
その束縛から逃れることできる手段だと悟った。

 と以上のように、読み下しましたが、如何なものでしょうか?

金閣寺関係資料

現在の金閣寺

昭和18年頃の金閣寺(父のアルバムより)

再建された金閣

1950年(昭和25)7月2日早朝、ひとりの寺僧の放火により焼失した金閣。その絢欄たる偉容が復活したのは、5年後の1955年(昭和30)10月であった。

再建にあたっては、まずふたつの構想が論議された。

ひとつは焼失前の姿の復元であり、ひとつは思いきった昭和の新金閣の建築計画である。

結論は、文化財保存の立場から復元が採択され、調査がはじまる。

なによりも好都合であったのは、全焼したにもかかわらず金閣は、焼け焦げた木材に

原型の痕跡をのこしていたこと、1904年(明治37)から]906年(明治39)の大修理の際に

作成された詳細な図面が存在していたことであった。

計画は再度練り直されて、焼失前の金閣からさらにすすめて、

創建当時の復元が決定された。着工は1952年(昭和評)3月であった。

金閣はその名称が示すように、金箔を用いた
3層の楼閣である。

明治以後の第三層だけとされていた金箔の処理を、史実の考証をもとに、

第二層の内外にも黒漆の上に金箔仕上げをほどこし、

第一層に用いられていた引き違い戸を壁に改めるなどした。

第三層の屋根を飾る鳳凰も新調された。細部には考証による復元がなされ、

規模は焼失以前と同じ大きさで再建された。

総工費はおよそ3000万円、工事にかかわった人数は延べ1万人におよんだ。