金閣寺の主題は 2001年5月23日
この本のテーマは、
主人公が「金閣寺」を燃やすという行為に至までの心理状態の描写です。
常識的に考えるなら、僧侶になるため仏門に入ったのだから悩み事があるとすれば仏に
すがり、住職に頼るはずなのに初めから「金閣寺」を擬人化して金閣寺を美化し、
それを通して物事を考え、行動に移していく。そこに作者の作為がある。
主人公に美の究極の象徴として「金閣寺」を持って来ているのは
「金閣寺」=「憧れの女性」
の関係を想定しているのだと解釈すれば理解しやすいのでは。
本の中の登場人する女性を見ていくと、少年時代のマドンナ、“有為子”がいる
ここで主人公は“金閣寺は有為子の化身”だと信じる。
だから他の女性“南禅寺の美しい女性=生け花の師匠”、
“下宿の娘”等と最後の一線を越えようとすると、
「金閣寺(有為子)」が現れ拒否反応を起こす。
「美は…美的なものはもう僕にとって怨敵なんだ」(P232)と
の考えに至った時、彼は「金閣寺(有為子)」の束縛から放たれ
遊郭の女性、“まり子”に対して童貞を捨てることが出来た。
後は「金閣寺」を破壊することが、「有為子」との決別であり、
彼がその束縛から逃れることできる手段だと悟った。
と以上のように、読み下しましたが、如何なものでしょうか?
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