村上 春樹
 

The Catcher in the Rye   2003/10

「ライ麦畑でつかまえて」村上春樹新訳

J.D.サリンジャーの不朽の
青春文学「ライ麦畑で
つかまえて」が、
村上春樹の新しい訳を得て、

「キャッチャー・イン・ザ・ライ」として
40年ぶりに
生まれ変わりました。

ホールデン・コールフィールドが
永遠に16歳であ
りつづけるのと

同じように、この小説はあなたの
中に、いつまでも留まることでしょう。

雪が降るように、風がそよぐように、川がながれるように、ホールデン・コール

フィールドは魂のひとつのありかとなって、時代を超え、

この世界に存在しているのです。

さあ、ホールデンの声に(もう一度)耳を澄ませてください。

白水社

If a body meet a body

coming through the rye

I'd just be catcher in the rye and all.

(ロバート・バーンズ)

 


1973年のピンボール
2003/9/27 
講談社文庫¥340

さようなら、3フリッパーのスペースシップ。

 

さようなら、ジェイズ・バー。

双子の姉妹との<僕>の日々。

女の温もりに沈む<鼠>の渇き。

やがて来る一つの季節の終わり。

 

 

国境の南、太陽の西

2003/9/14
講談社文庫 ¥500

今の僕という存在に何らかの意味を見出そうとするなら、

僕は力の及ぶ限りその作業を続けていかなくてはならないだろう‥たぶん。

「ジャズを流す上品なバー」を意味する、

絵に描いたように幸せな僕の前にカって好きだった女性が現れて‥‥。

日常に潜む不安をみずみずしく描く。

羊をめぐる冒険(上)

2003/8/23 講談社文庫¥320

あなたことは今でもすきよ、という言葉を残して妻が出て行った。

その後広告コピーの仕事を通して、

耳専門のモデルをしている二十一歳の女性が

新しいガールフレンドとなった。

 

羊をめぐる冒険(下) 2003/9/7

美しい耳の彼女と共に、星型の斑紋を背中に持っているという一頭の羊と

<鼠>の行方を追って、北海道奥地の牧場にたどりついた僕を、

恐ろしい事実が待ち受けていた。

 

世界の終わりとハード・ボイルド・ワンダーランド(上)

2003/8/2 新潮文庫¥590

高い壁に囲まれ、下界との接触がまるでない街で、

そこに住む一角獣たちの頭骨から

夢を読んで暮らす<僕>の物語、「世界の終わり」。

老科学者により意識の核に或る思考回路を組み込まれた

<私>が、その回路に隠された秘密を巡って活躍する

「ハードボイルド・ワンダーランド」。

静寂な幻想世界と波乱万丈の冒険活劇の二つの物語が

同時進行して織り成す、村上春樹の不思議な国。

世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド (下)

<私>の意識の核に思考回路を組み込んだ老博士と再会した<私>は、

回路の秘密を聞いて愕然とする。

私の知らない内に世界は始まり、知らない内に終ろうとしているのだ。

残された時間はわずか。

<私>の行く先は永遠の生か、それとも死か?

そして又、「世界の終わり」の街から<僕>は脱出できるのか?

同時進行する二つの物語を結ぶ、意外な結末。

村上春樹のメッセージが、君に届くか!?

2003/8/9 読破

ねじまき鳥クロニカル 第三部鳥刺し男編 

新潮社¥705

僕の考えていることが本当に正しいかどうか、わからない。

でもこの場所にいる僕はそれに勝たなくてはならない。

これは僕にとっての戦争なのだ。

「今度はどこにも逃げないよ」と僕はクミコに言った。

「僕は君を連れて帰る」僕はグラスを下に置き、

毛糸の帽子を頭にかぶり、脚にはさんでいたバットを

手に取った。そしてゆっくりドアに向かった。

ねじまき鳥クロニクル 第二部予言する鳥編

2003/6/29 新潮社¥514

「今はまちがった時間です。あなたは今ここにいてはいけないのです」

しかし綿谷ノボルによってもたらされた深い切り傷のような痛みが

僕を追い立てた。

僕は手を伸ばして彼を押し退けた。「あなたのためです」

と顔のない男は僕の背後から言った。

「そこから先に進むと、もうあとに戻ること

はできません。それでもいいのですか?」

ねじまき鳥クロニクル 2003/6/7

第一部泥棒かささぎ編

新潮社版¥476


For a guy who rarely leaves his own block, Toru Okada, the decent, if hapless, hero of Haruki Murakami's new novel, "The Wind-Up Bird Chronicle," has a lot of adventures.

At the book's beginning, he's left his job as a paralegal and spends his days reading and cooking dinner for his magazine editor wife.

First, an obscene phone call from a woman who seems to know him awfully well disrupts his sleepy routine.

Then he meets Malta Kano, an enigmatic psychic who's supposedly searching for his lost cat; her sister, Creta, who dresses like Jackie Kennedy and relates a life history of overwhelming physical pain, attempted suicide, prostitution and a traumatic encounter with Toru's sinister brother-in-law, Noboru Wataya; Lt. Mamiya, a WWII vet who tells him of the atrocities he witnessed on the Mongolian front and Soviet prison camps; and, eventually, an extremely well-dressed mother-son duo who introduce him to an unusual way of making lots of cash. When he needs a break, he pals around with the 16-year-old girl who lives down the street -- or mulls things over while sitting at the bottom of a dry well behind a vacant house.

Murakami is that unusual creature, a metaphysical novelist with a warm, down-to-earth voice and a knack for creating credible characters and spinning a lively yarn.

 Best known in this country for his 1989 novel "A Wild Sheep Chase," Murakami leavens the arresting philosophical symbolism of modern Japanese fiction with a goofy sensibility shaped by American pop culture -- he's like Paul Auster with a heart and a sense of humor.

From the beginning, "The Wind-Up Bird Chronicle" has the easy authority of the work of a natural-born storyteller, and each eccentric character and odd development only adds to the anticipation that

Murakami will tie it all up in a satisfying resolution. He expertly twines themes of suffering and inner emptiness with Toru's covert battle against the evil Noboru Wataya, an economic pundit of slippery charisma.

Profoundly vacant, Wataya realizes that "consistency and an established worldview were excess baggage in the intellectual mobile warfare that flared up in the mass media's tiny time segments." He parlays this cunning into a political career, of course. Wataya is the precise opposite of the humble Toru, and at first this appears to be the sole source of their antipathy.

The first 600 pages of "The Wind-Up Bird Chronicle" offer much unadulterated reading pleasure, and it's only as the remaining pages grow ominously sparse that the proverbial sinking feeling sets in. Even if he does provide for Toru, Murakami can't, in the end, gather all his novel's intriguing subplots and mysterious minor characters together convincingly, and he summarily drops whole handfuls of loose ends. Like the mark in a brilliant con game, I closed "The Wind-up Bird Chronicle" feeling somewhat bereft, but still so dazzled by Murakami's skill that I couldn't quite regret having come along for the ride.
SALON | Nov. 24, 1997

「人が死ぬのって、素敵よね」彼女は僕のすぐ耳もとで

しゃべっていたので、その言葉はあたたかい湿った息と一緒に

僕の体内にそっともぐりこんできた。

「どうして?」と僕は訊いた。娘はまるで封をするように

僕の唇の上に指を一本置いた。

「質問はしないで」と彼女は言った。

「それから目も開けないでね.わかった?」僕は彼女の声と

同じくらい小さくうなずいた。(本支より〕

中国行きのスロウ・ボート

読書開始 2003/5/31  読書終了 2003/6/7中央公論社 ¥360


 
中国行きのスロウ・ボート」

「僕」は人生の中で出会った3人の中国人

について思いを巡らす。

1人目の中国人は、中国人小学校で行わ

れた模擬テストの監督官で、

彼はその学校の教師であった。

「僕」はテスト前の教師の言葉に軽い

反発を覚える。

2人目の中国人は、大学2年の時に

バイト先で知り合った無口な

女子大生だった。

仕事の最後の日、

「僕」は彼女を誘って街に出る。      

別れ際、「僕」は彼女を逆回りの山手線に乗せてしまう。

彼女は「僕」の無意識の悪意に傷つく。

3人目の中国人は高校時代の知り合いであった。

彼は中国人相手に百科事典の訪問販売をしていた。

「僕」は自分がいるべき場所を失った後に残る重い沈黙と無限の闇を想像し、

いつか姿を現すかもしれない中国行きのスロウ・ボートに思いを託す

他に

*貧乏な叔母さんの話 *ニューヨーク炭鉱の悲劇 *カンガール通信

*午後の最後の芝生  *土の中の彼女の小さな犬

*シドニーのグリーン・ストリート

ノルウェイの森

 

 

 

読書開始  2003/5/17

読書終了  2003/5/24

発行所    講談社

定価      400円

 

 

 

 

 

 

ノルウェィの森(上)

暗く重たい雨雲をくぐり抜け、飛行機がハンブルク空港に着陸すると、天井の

のスピーカーから小さな音でビートルズの『ノルウェイの森』が流れ出した。

僕は一九六九年、もうすぐ二十歳になろうとする秋のできごとを思い出し、

激しく混乱していた。限りない喪失と再成を描き新境地を拓いた長編小説。

 

ノルウェイの森(下)

あらゆる物事を深刻に考えすぎないようにすること、

あらゆる物事と自分のの間にしかるべき距離を置くことー。

 あたらしい僕の大学生活はこうして始まった。自殺した親友キズキ、その恋人の

直子、同級生の緑。等身大の人物を登場させ、心の震えや感動、そして哀しみを

淡々とせつないまでに描いた作品。