第一巻 2011/8/16読書開始 8/23読破
壮大な野心を藩の運命に賭して幕末の混乱期を生きた英傑の生涯!
幕末、雪深い越後長岡藩から一人の藩士が 江戸に出府した。 藩の持て余し者でもあったこの男、 河井継之助は、いくつかの塾に学びながら、 詩文、洋学など単なる知識を得るための 勉学は一切せず、歴史や世界の動きなど、 ものごとの原理を知ろうと努めるのであった。 さらに、江戸の学問にあきたらなくなった 河井は、備中松山の藩財政を立て直した 山田方谷のもとへ留学するため旅に出る。
旅から帰った河井継之助は、長岡藩に戻って 重職に就き、洋式の新しい銃器を購入して 富国強兵に努めるなど藩政改革に乗り出す。 ちょうどそのとき、 京から大政奉還の報せが届いた。 家康の幕将だった牧野家の節を守るため 上方に参りたいという藩主の意向を汲んだ 河井は、そのお供をし、多数の藩士を従えて 京へ向う。 風雲急を告げるなか、一藩士だった彼は家老に抜擢されることになった。
開明論者であり、 封建制度の崩壊を見通しながら、継之助が 長岡藩をひきいて官軍と戦ったという矛盾した 行動は、長岡藩士として生きなければならない という強烈な自己規律によって武士道に 生きたからであった。 西郷・大久保や勝海舟らのような大衆の英雄の蔭にあって、一般にはあまり知られていない 幕末の英傑、維新史上最も壮烈な北越戦争に散った最後の武士の生涯を描く力作長編。