敵討  
2002/9/23 読書開始  2002/10/6 読破


 

 発行所 新潮社

 定価  1500円(税別)

 初出一覧

 敵討      「新潮」平成12年9月号

 最後の敵討  「新潮」平成13年2月号

 

 


敵討読後感 

敵討がこんなに困難なものとは知らなかった。

それこそ、自分の一生を仇討ちに賭けなければ成就しない。

 

ストリーは本庄茂平次に伯父の井上伝辺兵衛が殺され、

父、伝之丞が敵討に行き、返り討ちになりその息子、伝十郎が

敵討に成功するまでの話だが、相手を捜し出すには情報を

自分の足でしか稼げない当時としては膨大な時間をかけ、運がよければ

仇を討てるということだ。

本の中から、その一節を書き出してみると、

 

敵討は一般には美風とされているが、悲惨な所業とも言える。

敵に巡り合えるのは極めて希で、討手はあてもなく敵を求めて

歩きまわらなければならず、それはいつ果てる事もない。

有り金すべてかき集めて、いつしかそれも尽きてしまう。

討手が物乞い同然となり、飢えて行き倒れとなる者も多いという。

中にはあてもない探索の旅に気持がくじけ絶望して両刀を売り払い

市井の中に身を埋もれさせる例もある。

 

自分がその立場になるとどうだろうか、

敵討をやらなければ世間の非難を浴びるし、敵討の旅にでれば

返り討ちになるかもしれないし、野垂れ死になるかもしれないし

どうしょうか、悩むところです。