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<著者・舟橋聖一〉

一九〇四年、東京生まれ。

一九二六年、戯曲「白い腕」で文壇にデビュー。六三年『ある女の遠景』で毎日芸術賞六七年『好きな女の胸飾り』で野間文芸賞をそれぞれ受賞。七六年、七十一歳で没。幕末の大老・井伊直弼の生涯を流麗な文章で描いた本書は、歴史小説史上に燦然と輝く氏の代表作である。
著書に『お市御寮」。」

平成13年2月4日 (上) 読書開始 2月11日読破

 
三十五万石彦根藩主の子ではあるが、十四番目の末子だった井伊直弼は、わが身を埋木に擬し、住まいも「埋木舎」と称していた。

「政治嫌い」を標榜しつつも、一代の才子長野主膳との親交を通して、曇りのない目で時代を見据えていた。

しかし、絶世の美女たか女との出会い、
それに思いがけず井伊家を継ぎ、
幕府の要職に就くや、直弼の運命は急転していった……。

 出版社 祥伝社 ¥540  


平成13年2月12日 (下) 2月25日読破


なぜ、広い世界に目を向けようとしないのか?米国 総領事ハリスの嘆きは、

同時に井伊直弼の嘆きでもあ つた。

もはや世界の趨勢を止めることはできい。

らに撰夷を叫ぶことは、日本国自体を滅亡させることだった‥‥。

腹臣長野主膳、それに直弼の密偵として、また生涯を賭して愛を捧げたたか女を配し、維新前夜 に生きた直弼の波欄の生涯を描く、不朽の名作。